東京から、船で26時間。飛行機という選択肢は、最初から存在しない。竹芝桟橋を出た船が丸一日かけて父島に着き、そこからさらに2時間南下して、ようやく辿り着く島——小笠原・母島(ははじま)。日本一遠い有人島で、世界遺産の海に潜ってきた。
Journey Log — 小笠原・母島
- Access 船で26時間
- Ship 週1便ペース
- Status 世界自然遺産
- Airport なし
飛行機のない島へ──26時間の船旅
母島への旅は、竹芝桟橋で「おがさわら丸」に乗り込むところから始まる。
東京からおよそ24時間で父島・二見港。 そこで「ははじま丸」に乗り換えて、さらに2時間ほど南下。
合計、26時間。
飛行機がない。それだけで、旅行者の大半がふるいにかけられる。 — 竹芝桟橋にて
逆に言えば、この26時間こそが母島の入場券だ。 船に揺られている間に、日常がゆっくり剥がれ落ちていく。デッキで海を眺めて、寝て、起きて、まだ海。そのうち「急ぐこと」自体を忘れてくる。
26時間の船旅の様子は、動画に残してある。 「遠い」がどういうことか、画面越しでも伝わるはず。
About the Sea
東洋のガラパゴス、世界遺産の海
小笠原諸島は、2011年にユネスコ世界自然遺産に登録された島々だ。
大陸と一度もつながったことのない海洋島。 だから、ここの生き物たちは独自の進化を遂げてきた。「東洋のガラパゴス」という呼び名は、伊達じゃない。
今回お世話になったのは、ダイブリゾート母島 / 88 さん。 島のダイブサービスは限られているが、その分、地元を知り尽くしたガイドが母島ならではのポイントへ連れて行ってくれる。
海に入って、まず驚いたのは——
透明度と、静けさ。
観光客が少ない分、海の中も人の手が入っていない。 ハシナガイルカやミナミハンドウイルカといった小笠原ならではの生き物たちが、この海を自分たちのものとして生きている。僕らはそこに、少しだけお邪魔させてもらう側だ。
On the Island
潜って、登って、島を丸ごと堪能する
母島の醍醐味は、海だけでは終わらない。
島には小富士をはじめトレッキングコースが充実していて、「午前は潜って、午後は山に登る」みたいな1日が普通に成立する。
海から見る島、山から見る海。どちらも同じ、世界遺産の景色。 — 母島・小富士
潜った海を、今度は山の上から見下ろす。 さっきまで自分があの青の中にいたのかと思うと、ちょっと不思議な気分になる。
滞在日数には「船のスケジュール」という制約がある。 でも、その制約ごと旅の一部として楽しめてしまうのが、この島の懐の深さだと思う。帰りの船が決まっているからこそ、island timeの一日一日が濃くなる。
おがさわら丸は週1便程度の運航。滞在日数は船のダイヤで決まるので、旅の計画は「まず船の運航スケジュールを確認する」ところから始めるのが正解。
- 東京 → 父島: 竹芝桟橋からおがさわら丸で約24時間
- 父島 → 母島: 二見港からははじま丸で約2時間
- 帰りの便も含めて、先に船・あとで宿とダイビングの予約の順番が安全
持っていった機材
この海で使った主な機材。機材選びの参考になれば。
| 機材 | 内容 |
|---|---|
| 水中カメラ | SONY α7R III + ノーティカム NA-A7RIII ハウジング |
| ストロボ | INON Z-330 |
| マスク | GULL ヴェイダー |
| フィン | GULL WARP |
| BCD | アクアラング |
まとめ:26時間かかる島が、東京都にある
行くのに26時間かかる島が、東京都にある。 その事実だけで、もう十分に非日常だ。
母島の海は、派手さより静けさが際立つ。 そして不思議なことに、その静けさのほうが、記憶に深く刻まれる。
簡単に行けない場所だからこそ、行けたことの重みが違う。
時間と体力と、ほんの少しの覚悟がある人に、強くおすすめしたい島です。
Notes for the Next Diver
- Access
- 竹芝桟橋→おがさわら丸 約24時間→父島・二見港→ははじま丸 約2時間。合計26時間
- Ship
- 週1便程度。滞在日数は船のダイヤ次第なので事前確認は必須
- Shop
- ダイブリゾート母島 / 88
- Sea
- 透明度と静けさ。ハシナガイルカ・ミナミハンドウイルカなど小笠原ならではの生き物たち
- Land
- 小富士などトレッキングも充実。「潜って登る」1日が成立する
- Mind
- 時間と体力と覚悟。それさえあれば、一生モノの旅になる
次の海で、また。